荒木経惟さんだったと思うが、レンズキャップをしたままシャッターを切って写真に日付を写し込んでいた。
真っ黒の画面に日付が写っている。
データバックがついたフィルムカメラで撮影すると、シャッターを押した時間が写るのである。
コンセプチュアルというか、河原𥁕というか・・・。
「一瞬は長いと感じた」というキャッチコピーは、ニコンF801のコマーシャルで、8000分の1を写しとめる高速シャッターを誇るコマーシャルだった。
写真は時間を切り取るのだ。
8000分の1秒という時間の帯を写すのだから、それは8000分の1の長さの動画を撮ることでもある。
動いているのに、止まって見える8000分の1というムービー。
屋根の影とトタン板の釘の並びが重なる時間。
この時間は、緩やかにスローモーションで過ぎていく。