日下部 一司[クサカベ カズシ]
板塀の向こうから蔓植物が顔を出していた。
こちらからは向こうの世界が見えないけれど、彼らもまたこちらも世界を覗けない。
一枚が先ず隙間を通り抜け、それをまねしてもう一枚が・・・。
一番下に、今まさに触手のような葉っぱを滑り込まそうとしている。
植物に心理があるかどうかは知らないけれど、人間と似ているな。
生きていると同じことをする。
必要なものを目指して危険を冒す。